国立科学博物館 特別展「世界遺産 ラスコー展」 感想

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国立科学博物館の特別展「世界遺産 ラスコー展 〜クロマニョン人が残した洞窟壁画〜」に行ってきたので感想でも書いておきます。

ラスコー展の図録

ラスコー展の図録。大きいとスキャンするのが大変なので、レターサイズ以下にしていただけませんか。

ラスコー展はあまり混雑していません

ラスコー展は、テーマがマニアックすぎて、国立科学博物館の特別展としてはとても空いていました。

私が見学したのは土曜日の昼間でしたが、当日券のチケットは待ち時間無しで買うことができましたし、中の展示でも、ちょっと待てばすぐに最前列で眺められました。

実物大ラスコー洞窟の中

目玉の実物大ラスコー洞窟の中。最前列は埋まっていますが、2列目で少し待てばすぐに最前列に行けます。

これが、恐竜展とかだと何列も人垣ができていて、展示品に近づくことすらままなりません。

クロマニョン人は意外と絵がうまい

展示の中では、まずウマの絵のレプリカが目にとまります。

ラスコー壁画のウマの絵

ラスコー壁画のウマの絵。原始人のくせにうまい。

想像していたのより、水墨画っぽくて、写実的にうまいです。これが4万年前に描かれていたとは、正直、原始人をなめていました。

よくよく見ると、頭や足が小さめにデフォルメされているのがわかりますが、複数人でこのデフォルメの特徴を含めてそろえて描いていたという事実に、文化を感じます。

実物大ラスコー洞窟では照明を切り替える演出が面白い

目玉の実物大ラスコー洞窟では 1 分おきぐらいに、展示している部屋の照明が明るくなったり暗くなったりしていました。

実物大ラスコー洞窟。明るいタイミング。

実物大ラスコー洞窟の展示の明るいタイミング。

実物大ラスコー洞窟。暗いタイミング。

実物大ラスコー洞窟の展示の暗いタイミング。

明るいときは壁画が浮かび上がり、暗いときは石で削られた輪郭線が青い光で浮かび上がります。ラスコーの壁画は、(1) まず輪郭を石で削った後、(2) 顔料で色を塗って、(3) さらに上から石で削って白い部分を作る、という段階でつくられていたのだそうです。

普通の展示だと、石で削られた部分というのはよほど注意してみないとわからないですが、この展示方法だと一目瞭然ですね。なかなか感心しました。

オオツノジカは壁画にいない

洞窟内の壁画の展示が一通り終わると、時代背景の展示がはじまります。

こちらの展示は同時代にヨーロッパにも生息していたオオツノジカ。

ラスコー展のオオツノジカ。

ラスコー展でクロマニョン人の時代のオオツノジカの展示。

なるほど、ラスコーの壁画にはこんな動物も描かれていたのですね。狩猟の獲物としては最適そうですものね。

と思って説明を読んでみると、

ラスコー展のオオツノジカの説明。

ラスコー展のオオツノジカの説明。

オオツノジカ
ヨーロッパからアジアに書けて生息していた史上最大級のシカ。
(中略)
クロマニョン人の壁画にも描かれていますが、ラスコー洞窟には描かれていません。

・・・えっ?

まさかラスコー洞窟に描かれていない動物の標本を展示してくるとは予想外でした。洞窟に描かれているオーロックスやウマやケサイはどこへ行ったのですか。

ちなみに同時代の動物の骨格標本はこれだけです。

いや、わかります。ヨーロッパの古生物の標本なんて、国立科学博物館になかったのですよね。大人の事情はわかりますけど、なんだかなー、というのが正直な印象です。

同時期の日本の展示もあります

最後は日本の同時代 (といっても数千年ぐらい後) の展示になっています。

日本で3万8千年前から往復航海をしていた証拠の黒曜石。

日本で3万8千年前から往復航海をしていた証拠の黒曜石。伊豆七島の神津島の黒曜石が本州の遺跡で見つかったそうな。

特定の地域でしか産出されない黒曜石が全国に流通していたり、槍の穂先の流行が地方ごとにあったり、その当時から日本にも文明があったということを伝えたいのだとは思います。

ただ、ヨーロッパのラスコーの壁画は明らかに芸術活動の証拠なのに対して、日本側の同時期の遺跡は芸術活動の証拠とはいいにくいところがあるので、バランスとしてはあまり取れていなかったような気がします。

土偶ぐらいまでいくと完全に芸術だとは思いますが、かなり時代が下ってしまうのですよね。

まとめ、ラスコーの壁画はやはりすごい

世界遺産になるだけあって、ラスコーの壁画はやはり衝撃的ですね。

ネアンデルタール人も同じ地域や近くの洞窟に住んでいたようですが、このような芸術を残してはいませんでした。

クロマニョン人は、ネアンデルタール人と比較して共同作業の水準が上がり、暗黒の洞窟の中で、ランプを絶やさず、弁当を用意し、複数人が決まった流儀で絵を描くことができる文化レベルに到達しました。これは実はネアンデルタール人と隔絶した技術の進歩が背景にあったということで、とても説得力がありましたね。

やはり国立科学博物館の特別展はいい仕事をします。

次回の特別展も楽しみですね。

参考

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