ドン・キホーテの違法残業の罰金50万円は安いか高いか

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ドン・キホーテが違法残業で裁判所から罰金 50 万円

ドン・キホーテが従業員を違法に残業させて、裁判所から罰金 50 万円の略式命令を受けたというニュースがありました。

これについて、ネットでは罰金が安すぎるという議論がわき上がっているようです。

まあ、確かに違法に残業させて罰金が 50 万円というのは常識に考えて安いですよね。いったいどういう根拠なのでしょうか。

起訴の内容について

そもそもどのような内容で、ドン・キホーテが起訴されたのでしょうか。

実は報道しているメディアが少なくて、情報が少ないのですが、実はほとんど 1 年前の 2016 年 1 月の J-CAST ニュースの報道が詳しいです。

ドン・キホーテの役員とドン・キホーテ法人を 2016 年 1 月 28 日に書類送検しているのですが、その際、J-CAST ニュースは次のように伝えています。

2014年10月から15年3月にかけ、都内5店舗の従業員計6人に、違法残業をさせた疑い。労使協定で定めた「3か月120時間」を超える残業をさせ、最長では415時間45分の時間外労働があったという。

まあ時速 120 キロメートルの道路で 415 キロメートル出してしまった、みたいな話と思っておけば良さそうです。

自動車の運転だと一発免停ですが、労働基準法ではどうでしょうか。

残業時間の労使協定違反の罰金は 30 万円が上限

労使協定で定めた残業時間の上限を超えた場合、労働基準法第37条違反として、労働基準法第 119 条の罰則が適用されます。

ところが、この罰則には「6 ヶ月以下の懲役もしくは 30 万円以下の罰金」と書かれています。

あれ、報道の 50 万円に届きませんね。どうなっているのでしょうか。

最低賃金違反の罰金は 50 万円が上限

おそらくのところ、ドン・キホーテは労使協定の上限からはみ出した労働時間を「なかったもの」としてサービス残業させていて、そのために最低賃金を割り込んでしまった可能性が高いです。

この場合、最低賃金法第 40 条の罰則が適用され、罰金の上限は 50 万円になります。

罰金額から見て、ドン・キホーテは労働基準法ではなく、最低賃金法の罰金命令が来たのではないかと思われます。

今回の場合、1ヶ月 100 時間近い残業が発生しています。2014年9月時点の東京都の最低賃金は 888 円で、3 ヶ月で 400 時間以上残業させていたとなると、残業代を月12万円以上支払う必要があったはずです。

罰金が安すぎないか

はたから見ると、罰金額が安すぎて違法残業の抑止力に全然なっていないように感じられます。

ただ、これでも一昔前に比べると罰金は随分高くはなってはいるのです。

以下の表は最低賃金と残業代の違反に対するそれぞれの罰金額の推移です。

 最低賃金違反の罰金 残業代違反の罰金
昭和22年4月 5千円以下
昭和34年7月 1万円
昭和51年5月 10万円以下
平成5年7月 30万円以下
平成20年7月 50万円

なんと 2008 年 (平成 20 年) になるまで、最低賃金法に違反しても 1 万円しか払う必要がなかったのです。実際は 2 万円以下の罰金は 2 万円にするという罰金等臨時措置法があったので、 2 万円支払う必要がありましたが、何にしろ激安です。

労働法がザル法と呼ばれる理由

実際のところ、日本の労働基準法は経営者の性善説に立っているのか、いくらでも労働者を残業させられるようになっています。また、違反したときの罰則も軽いです。

今回、ドン・キホーテが結果的に違法残業になったのは、労使協定で残業時間の上限を 3 ヶ月120 時間にしていたからでした。上限を 3 ヶ月 500 時間ぐらいにして、残業代を払っていたら何の問題もなかったのです。

内閣府に連合が提出した資料によれば、年間 1000 時間超の残業時間を上限としている企業が大企業で 1.2 %、中小企業で 4.3 % あります。

つまり、中小企業では 20 社に 1 社ぐらいは年間 1000 時間以上、合法的に残業できます。

残業時間に関する労使協定は、経営側の「これぐらいで勘弁しておいてやる」という慈悲を示しているのに過ぎず、労働時間規制は現状、有名無実になってしまっているのです。

労働基準法第 32 条が本当に空しく響きます。

第三十二条  使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

 

参考

 

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