人外との混血が人類の進化の原動力だった

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ヒトならざるヒトとの混血

最近、人類の進化の中で「混血」がホットトピックです。

混血といっても、日本人と韓国人との混血とか、黒人と白人との混血とかそういうレベルの話ではありません。これらは結局のところ、ホモ・サピエンス同士のつながりです。

ここでいう、混血とはヒトならざるヒトとのそれです。

ヒト以外にヒトはいるのか、というのは哲学的な問いに聞こえるかもしれませんが、過去にはヒト以外に「ヒト属」がいたのです。

ネアンデルタール人との混血

ネアンデルタール人は 4 万年前に絶滅したヒトでないヒト属です。

ネアンデルタール人は、絶滅するまで短期間ヒトと共存した時代がありましたが、最近まで、ミトコンドリア DNA の解析から、ヒトとネアンデルタール人は遺伝的に混ざってはいないといわれていました。

しかし、核 DNA を調査した結果、人類の遺伝子全体の中には、ネアンデルタール人の遺伝子が 20 から 35 %残っており、さらに各個人の遺伝子の中の 1.5 から 4 % はネアンデルタール人由来であることが明らかになりました。

そう、人類はネアンデルタール人と過去に混血していたのです。

ここまでは日本語書籍で解説書もも出版されているし、聞いたことがある人も多いと思います。

デニソワ人との混血

さらに今年になって、パプア・ニューギニアのビスマルク諸島に住んでいたメラネシア人の祖先が、ネアンデルタール人だけでなくデニソワ人と混血していたことも明らかになりました。

デニソワ人はネアンデルタール人と近縁のヒト属で、約4万年前にシベリアから東南アジアにかけて分布していたと言われています。

メラネシア人の DNA を調べたところ、1.9 から 3.4 % がデニソワ人由来の遺伝子だったというのです。

ちなみにメラネシア人以外はデニソワ人の遺伝子は確認されていません。また、現代アフリカ人はネアンデルタール人の遺伝子もデニソワ人の遺伝子も持っていません。

これは、人類がアフリカを出た後にネアンデルタール人と混血し、さらにメラネシアでデニソワ人と混血したことを示しています。

どちらにしても、人類が混血することは、過去に考えられていたよりは、頻繁にあったことのようです。

ヒヒの混血とヒトの相貌

混血がどのような影響を与えるかは、ヒトと同じ霊長類のヒヒである程度確かめられています。

アフリカのヒヒは 6 種が 3 つの地域で交雑しているのが知られており、少なくとも 2 種はすでに絶滅したヒヒの遺伝子の 25 %近くを受け継いでいることが知られています。

これらの研究の中で、ヒヒが交雑した子孫は以下の特徴を示しやすいことがわかっています。

  • 犬歯の縮小とその他の歯の回転
  • 鼻腔の巨大化
  • 顔面の巨大化

実は、これらの特徴はヒトの頭蓋骨の特徴をよく表しているものです。

つまり現代のヒトにはネアンデルタール人の血が流れているという点にとどまらず、ヒトがヒトらしくなったのは、ネアンデルタール人との混血の結果であることを示唆するわけです。

このように、ヒトならざるヒトとの混血が積極的に人類の進化をもたらしたという説まで持ち上がってきています。

進化の系統樹

最近、進化の系統樹はツリーではなくてネットワークだと言われています。分かれて進化した先でも様々な手段で遺伝子を交換して、それぞれの生物の進化に多様性をもたらしています。

これが細菌とかキノコとか植物とかなら、突然変異とか交配に依らない、そういう横紙破りな遺伝子の交換があってもいいと思います。

しかし、ヒヒとかヒトとか高等生物でも種族を超えた遺伝子交換をすると言われると、自分の中での進化像とか倫理観とかをいろいろ再構築する必要を感じますね。

 

祖先の好き者っぷりには多少辟易しつつも、出会いが進化をもたらすのは古今東西どこでも一緒かと納得した今日この頃でした。

参考

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