180円のパンのお釣りから文系と理系と麻雀を考える

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お釣りで文系か理系かわかる?

300 円を持って 180 円のパンを買ったときのお釣りはいくらと答えるかで、その人が理系か文系かわかるという記事が一時期話題になりました。

その記事によると、お釣りを 120 円と答える人は理系で、20 円と答える人は文系なのだそうです。

理系・文系がわかるといったオカルトな内容はともかく、お釣りのもらい方は一通りではない、というのはなかなか面白い指摘ですので少しつっこんで考えてみることにしました。

もともとの問題

まずはオリジナルの問題 300 円を持って 180 円のパンを買った場合を考えましょう。

300 円を持っている、ということは常識に考えて、手元に 100 円玉が 3 枚あるということでしょう。

この場合、180 円を買うのに百円玉 3 枚を出す人はいません。普通なら百円玉を 2 枚しか出さないから、お釣りは 20 円になるはずです。

そして、そこまで文脈を読む文系の人はお釣りは 20 円と答え、単に計算問題の一種としか見なさない理系の人は 120 円と答えるというのが元々の問題の種明かしでした。

ちなみに私はお釣りは 20 円派ですが、小学生向けの算数問題でこんな悪問、見たことありません。

この手の理系・文系判断話は、「文系」を「O 型」、「理系」を「A 型」に読み替えると分かりやすいのですが、まあ血液型とか星座とかと一緒で単なる占いの一種ですね。当たった外れたでひとしきり話題になればよくて、統計的な有効性を議論するのは野暮というものでしょう。

理系払い

ここで少し問題設定を変えてみましょう。

当初の問題設定では 300 円持っていたことになっていましたが、百円玉 2 枚、十円玉 3 枚の計 230 円持っていた場合は、180円のパンを買ったときのお釣りはいくらになるでしょうか。

これは二通りの答えが考えられて、200 円を払って 20 円のお釣りをもらうか、230 円を払って50 円のお釣りをもらうかです。

理系払いと文系払い

230 円あるときに 180 円のものを買うときの二通りの支払方法。左が文系払い、右が理系払い。上の段が店員が出すお釣り、下の段がお客の支払い。

この二つの方法にはそれぞれに基準があります。

  • 200 円払う方法は相手に支払う金額を最小化しています。これ以上、金額を減らそうとするとパン代の 180 円を支払うことができなくなります。
  • 230 円払う方法は取引後に自分が所有する硬貨の枚数を最小化しています。230 円払った場合は五十円玉 1 枚だけが手元に残り、200 円払った場合に比べて硬貨の枚数が 4 枚少なくなります。

230円払う方法はいわゆる「理系払い」として知られていますが、ここでは200円を払う方法も「文系払い」と名付けておきましょう。

麻雀払いの例 1

買い物での支払いの基準は、理系払いと文系払いだけとは限らず、他にもあります。

理系払いでは「自分の手元に残る硬貨の枚数」を最小にしましたが、買い物で「店員とお客が交換する硬貨の枚数」を最小にするのを基準にする方法があり、これを「麻雀払い」と呼びます。

「麻雀払い」の名前の由来ですが、麻雀の点棒を交換するときは速度が重要ですので、交換に使用する点棒をできるだけ少なくする必要があったので、この名前がついたと思われます。

さて、もう一度、百円玉 2 枚と十円玉 3 枚の 230 円を持って、180 円のものを買うときのことを考えましょう。

麻雀払いの例1

麻雀払いの例1。交換する硬貨の枚数は左の方が少ないので、左が麻雀払い。

  • 文系払いでは店員と客が十円玉 2 枚、百円玉 2 枚の計 4 枚の硬貨を交換します
  • 理系払いではと五十円玉 1 枚、十円玉 3 枚、百円玉 2 枚の 計 6 枚の硬貨を交換します

この場合、理系払いよりも文系払いの方が、店員とお客の間で交換する硬貨の枚数が少ないので、文系払いと麻雀払いが一致します。

麻雀払いの例 2

では、文系払いは常に麻雀払いなのでしょうか。

必ずしもそうとは限りません。やはり百円玉 2 枚と十円玉 3 枚の 230 円を持って、今度は160 円のものを買うときのことを考えてみましょう。以下の図で左が文系払い、右が理系払いです。

麻雀払いの例2

麻雀払いの例2。交換する硬貨の枚数は右の方が少ないので、右が麻雀払い。

  • 文系払いでは店員と客が十円玉 4 枚、百円玉 2 枚の計 6 枚の硬貨を交換します
  • 理系払いでは十円玉と五十円玉 1 枚ずつと百円玉 2 枚の 計 4 枚の硬貨を交換します

この場合、理系払いが麻雀払いと一致します。

結局、麻雀払いは理系払いとも文系払いとも一致しないことがわかります。

理系払いガイド

いったん理系払いの話題に戻りましょう。

買い物において「180 円になります」と店員から金額をいわれたときに、理系払いをするには、どのように支払う金額を決めたらよいでしょうか。

たいていの人はこの作業を無意識にやっているので、いざ人に説明しようとすると難儀するかもしれません。

理系払いにおける硬貨の枚数の増減

理系払いにおける手元に残る硬貨の枚数の増減。文系払いを基準として、上の数字はお釣りによる増減、下の数字は支払による増減、中央の数字はその総和。

  1. まずは文系払いをします。180 円以上で支払う金額を最小化するので、支払いは 200 円になります。以下ではここを基準に硬貨の枚数の増減を見ていきます。
  2. 次に支払う十円玉を足して、支払いを 210 円にします。支払で 十円玉が手元から一つ減りましたが、お釣りで十円玉が戻ってくるので、支払後に手元に残る硬貨の枚数はプラスマイナス 0 です。
  3. さらに支払う十円玉を足して 220 円支払っても、お釣りが同じだけ増えるので支払後の硬貨の枚数はプラスマイナス 0 のままです。
  4. さらに支払う十円玉を足して 230 円支払うと、お釣りが 50 円になって十円玉から五十円玉に変化します。結果的に、手元に残る硬貨の枚数が、文系払いのときと比べて 4 枚減ります。

文書絵読むとと面倒くさいですが、図で見れば一目瞭然かと思います。ポイントは次の2つです。

  • 文系払いを基準に支払う硬貨を増やしても、手元に残る硬貨が増えることはありません。
  • お釣りが増えた結果、十円玉が 5 枚になって百円玉に変わるときや、五十円玉 2 枚で百円玉に変わるときなど、「繰り上がる」ときに手元に残る硬貨が減り、理系払い的に得になります。

つまりレジではまずは文系払いをして、次に「繰り上がる」可能性がある硬貨に対して、同じ種類の硬貨を追加すればいい、ということになります。

麻雀払いガイド

では次に、今度は麻雀払いをすることにして、買い物において「180 円になります」と金額をいわれたときに、どのように払う金額を決めたらよいでしょうか。

理系払いのときと同様に、文系払いを基準に支払う硬貨を増やして、様子を見ましょう。

麻雀払いにおける180 円の買い物をしたときの硬貨の交換枚数の増減。文系払いを基準として、上の数字はお釣りによる増減、下の数字は支払による増減、中央の数字はその総和。

  1. 理系払いのときと同様に、まずは文系払いをして、ここを交換する硬貨の枚数の基準にします。
  2. 次に支払う十円玉を足して、支払いを 210 円にします。支払う硬貨が 1 枚増え、さらに戻ってくる硬貨も 1 枚増えるので、交換する硬貨の枚数は 2 枚増えます。
  3. さらに支払う十円玉を足して、220 円支払うと、交換する硬貨の枚数はさらに 2 枚増えます。
  4. 230 円支払うと、お釣りが 50 円になって戻ってくる硬貨が十円玉から五十円玉に変化しますが、すでに増えた分を打ち消しきれず、結局、理系払いに比べて硬貨の交換枚数が 2 枚増えてしまいます。

180 円のものを買うときは、十円玉から五十円玉に繰り上げるのに必要な硬貨の枚数が、繰り上げによって減らせる硬貨の枚数を超えてしまっています。そのため、文系払いの方が交換枚数が少なくなり、麻雀払いになっているのが分かります。

では、今度は 160 円の買い物をするときのことを考えてみます。

麻雀払いにおける硬貨の交換枚数の増減 (160円の買い物)

麻雀払いにおける硬貨の交換枚数の増減。こちらは160円の買い物の例。

  1. まずは文系払いの 200円 を支払い、ここを交換する硬貨の枚数の基準にします
  2. 次に支払う十円玉を足して、支払いを 210 円にします。支払う硬貨が 1 枚増えますが、一方でお釣りが 50 円になって戻ってくる硬貨が十円玉から五十円玉に変化し、総計で交換する硬貨の枚数は 2 枚減ります。

160 円のものを買うときは、十円玉から五十円玉に繰り上げるのに必要な硬貨の枚数が少ないので、繰り上げによって減らせる硬貨の枚数の効果が大きく、理系払いの方が交換枚数が少なくなっているのが分かります。この場合は理系払いが麻雀払いです。

このあたりの考察から、文系払いのお釣りから、麻雀払いの支払い金額を決める方法は次のようになります。

  • 一円玉、十円玉、百円玉が2枚以下だったら、支払う硬貨を追加しない方が交換枚数が増やさずに済みます。
  • 一円玉、十円玉、百円玉が4枚だったら、支払う硬貨を 1 枚追加して、繰り上げた方が交換枚数を減らせます。
  • 一円玉、十円玉、百円玉が3枚だったら、支払う硬貨を 2 枚追加して繰り上げると、交換枚数は変わらないが、手元に残る硬貨は少なくなります。
  • 五円玉、五十円玉、五百円玉のお釣りに対しては、支払う硬貨は追加しない方が、交換枚数を増やさずに済みます。

もう少し、単純なポリシーとしては、まずは文系払いをした後、お釣りに同じ硬貨が 3 – 4 枚 あるようでしたら、その硬貨を支払いに追加して繰り上げると、麻雀払いになります。

で何がいいたかったの

理系払いよりも麻雀払いの方が、計算がいろいろ面倒でしたね。

すると、麻雀払いを日常的にやっている雀士 (じゃんし) の方々は理系人間に属しているであろうと思えますが、学生で雀荘 (じゃんそう) に通っている人たちって、むしろ文系学部に所属している人の方が多かったような、というパラドックスが生まれるのです。

理系とか文系とかって何だっけ、と思った今日この頃でした。

参考

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