映画「君の名は。」のティアマト彗星の軌道は実は正しい

このエントリーをはてなブックマークに追加

彗星の軌道がありえない?

大ヒット映画「君の名は。」の有名な突っ込みどころの一つに、ティアマト彗星が太陽の周りを回らず、地球の周りを回っている、というのがあります。

劇中のティアマト彗星の軌道

劇中のティアマト彗星の軌道。地球を周回している。

彗星は太陽を回るもので、地球を回るものではない、という思い込みが前提にあるのだと思われますが、本当にそうでしょうか。

私の考えるところでは、ティアマト彗星が地球を周回するこの軌道は正しいです。

さすがに全てが物理的に正しいとは言えませんが、おそらく監督は意図的にこの軌道を選んでいます。

それはこの彗星が劇中で

  • 近地点で分裂して、
  • 地球に突入するからです。

シューメーカー・レヴィ第9彗星の軌道

近地点で分裂して、惑星に突入する彗星なんて、そうそうあるわけないはずですが、実は10年ほど前に木星でありました。そう、シューメーカー・レヴィ第9彗星の衝突イベントです。

シューメーカー・レヴィ第9彗星の軌道

シューメーカー・レヴィ第9彗星の軌道。木星を周回していたが、近地点で高度が木星の半径の約30% の上空を通過した際に潮汐力で分解した。その2年後に木星に衝突する。

このシューメーカー・レヴィ第 9 彗星は、500 年ほど前に木星に捕獲されて、最後に木星に衝突するまで、木星を周回していました。

そう、実はシューメーカー・レヴィ第 9 彗星は太陽を周回する彗星ではなく、惑星を周回する彗星だったのです。

シューメーカー・レヴィ第 9 彗星は1992年7月に、近地点であるところの、高度が木星の半径の約 30 %しかない衝突ギリギリの上空を通過した際に潮汐力で分解しました。

分解してしまったものの、その後も木星を周回し、その途中で 1993 年 3 月にシューメーカー夫妻とデイビット・レヴィによって発見されます。

そして、ちょうど一周してきた 2 年後の 1994 年 7 月に木星に衝突します。その当時は大きな話題になりましたね。

ティアマト彗星は地球周回彗星?

映画「君の名は。」のティアマト彗星のシーンは、この1994年のシューメーカー・レヴィ彗星の衝突イベントを下敷きにしていると思われます。

シューメーカー・レヴィ第9彗星が木星周回彗星だったことから、劇中のティアマト彗星が地球周回彗星でないという積極的な理由はありません。

むしろ偶然の一致としてはできすぎなので、シューメーカーレヴィの軌道を念頭に、ティアマト彗星の軌道を設定したと読むべきでしょう。

つまり、冒頭の地球を周回する彗星の絵というのは実は監督が狙っていたものだということになります。

では物理的に描写は正しいの?

シューメーカー・レヴィ第 9 彗星のイベントを下敷きにしているということは、映画「君の名は。」の彗星描写は物理的にリアルか、というと残念ながら首を横に振るしかありません。

  • 彗星が分裂した直後に地表に振ってくるのは不自然です
  • 1200年周期は長すぎです

まず近地点で彗星が分裂した場合、図からも分かるとおり、惑星への方向とは垂直な方向に進んでいますので分裂直後に地表に落下することはありません。

実際にはシューメーカー・レヴィ第 9 彗星のようにもう一回、地球を周回してから落下してくるはずです。ちなみにティアマト彗星の周期は 1200 年、もう安心ですね。

あと、周期 1200 年の安定な地球周回軌道は存在し得ません。あまり地球から離れると太陽からの引力の方が支配的になって、結局太陽周回軌道になってしまいます。

で何が言いたいの?

人を呪わばなんとやら。

今回の教訓としては、本当に監督が描きたかったものはチェックしておきましょう、というあたりでしょうか。

そうでないと、太陽を周回しないことに突っ込むべきか、安定な軌道が存在しないことを突っ込むかを間違えて、あさっての指摘をしてしまうことになりますから。

参考

映画「君の名は。」のティアマト彗星の軌道は実は正しい」への5件のフィードバック

  1. んーなるほど。
    監督の狙いがどこに合ったかは監督は墓場まで持っていく腹づもりだと思えば。
    我々、見た人らの想像の中に無数に生まれるティアマト彗星・・・
    1200年周期は長すぎたってことか。
    でも新海監督はロマンチックだから。

  2. バカかお前。
    そもそもこの彗星は地球すら回ってない。
    何もない宇宙空間を急カーブで回ってるように描かれてたんだよ。
    そんなことあり得ないんだ、大バカ野郎!
    まあ、実は彗星は遠日点では何もない宇宙空間でゆっくりと急カーブを切って、地球に戻って来るんだが、それはあくまで遠日点だ。
    分かるか?遠日点。
    こんな下らねえ3流映画に入れあげて、挙句の果てに明らかなミスにこじつけ理論か??
    頭冷やせ、バカ!!
    それが証拠にDVDでは修正されてるんだろ?
    さあ、どう説明すんだ?

    • 人にミスはつきものですよ。
      たしかに言いたいことはわかりますが「頭冷やせバカ」などの暴言はあまり適切ではないように思えます。
      高圧的に出ればこの記事を書いた方も説明しづらくなってしまいますよ……

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です