日本「オブザーバーの安全保障は管轄ではない」 マグロの国際会議WCPFC第13回年次会合で日本の漁業管理に非難集中

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クロマグロを含むマグロ類などの中西部太平洋の漁業資源を管理する「中西部太平洋マグロ類委員会 (WCPFC)」 の第13回年次会合が12月5日から12月9日までの日程でフィジーで開催されました。

「いらすとや」よりマグロ

「いらすとや」よりマグロ

この中で日本が漁業資源管理そのものに加え、オブザーバーの安全管理にも消極的だと各所で非難されていましたので、少しまとめてみました。

北小委員会提案に対する非難

太平洋クロマグロの漁業管理については、WCPFC の分科会である北小委員会 (Northern Committee) で提案がまとめられて、それを承認するという形式をとっています。この北小委員会を主導しているのが日本です。

北小委員会ではほぼ昨年までと同様の漁獲規制案をそのまま WCPFC に提出したのですが、この提案については各機関から非難が集中し、漁獲規制について北会議に差し戻しになったようです。

議事録はまだ出ていないので具体的にどのような非難と対応が行われたのかは報道からごく一部を知ることができるだけです。ただ雰囲気はなんとなくわかります。たとえばマグロのはえ縄漁を規制する団体のナウル協定連合 (PNA) はウェブニュース紙 worldfishing に対して以下のように語っています

「クロマグロについて何の対策も取らないことは、誰がこの地域のマグロの保護を妨害しているのか明確に示している」
「公海上でクロマグロ漁を行う国々だけが、自分たちが引き起こしたこの問題の解決を拒んでいる。漁業をしてなかったときの3%未満に資源が落ち込んでいるにもかかわらずだ」

同紙には同様のことをニュージーランド高官が語ったともありますね。

また、各自然保護機関があらかじめ WCPFC の年次総会に提出した資料を見ると、 WCPFC の漁獲規制の生ぬるさにイラだっている様子が分かります。

国際自然保護連合 (IUCN)

国際自然保護連合は、絶滅のおそれのある野生生物のリスト、レッドリストを作成している機関ですね。WCPFC に提出されたレターでは以下のように非難しています。

2014年にWCPFCで「歴史的な平均資源量」の復活という目標を採択されましたが、定義された「歴史」の間ほとんどずっと乱獲されていたため、この目標は「漁業をしなかったと仮定したときの資源量」の6.4%でしかありません。これは一般的な「漁業をしなかったときの資源量」の20%から40%と比較して全く不足していて、健全な生息数を復活させるには全く不適当と言わざるを得ません。

The Pew Charitable Trust

The Pew Charitable Trust は米国の NGO で環境保護団体の一つです。1948年からの寄付総額 6000 億円だそうな。ここも北小委員会を名指しに批判しています

北小委員会によって勧告された資源管理では乱獲を終わらせることもできませんし、長期の種の漁獲戦略を定めてもいません。実際のところ、新たに追加された対策は成長したクロマグロをの漁獲量を増やすことを可能にしています。現状の管理手法ではクロマグロの生息数が回復する可能性は 1 %以下と科学的な手法で予測されているにもかかわらずです。

世界自然保護基金 (WWF)

WWF はパンダのマークで世界最大規模の英国の環境保護団体ですね。ここはそこそこ穏当な対案を提案しています。ちなみに他の環境保護団体は即時 2 年間の休漁期間を設けるべきだとか、禁輸品目に加えるべきだとか主張しています。

WCPFC が採択している保護基準では30キログラム未満の太平洋クロマグロしか漁獲を制限していませんが、全ての大きさ、特に産卵期にある太平洋クロマグロの漁獲を制限する必要があります。これまでに得られる一番もっともらしい予防原則の科学的な知見に基づくと、85キログラム未満の個体まで漁獲を制限すべきです。

オブザーバーの安全について

例年通りの漁獲規制案を持って行ったら非難集中で困ったというだけなら、まあ救いもあるのですが、日本はこの会議で別の失態を演じています。

クロマグロを含め漁業管理が正しく行われているか監視するため、漁船にはオブザーバーが乗り込むことがあります。この業務に携わるのは 300 名ぐらいですが、この6年間の間に監視中に 5 名が死亡しているそうです。

漁業は元々事故死亡率が一般的な日本人の2倍ぐらいあるのですが、この死亡率はさらにその数倍という計算になりますね。この他にもいやがらせなどがあるという報告もあるようです。

このことについて、オブザーバーの安全を高めてほしいという要望が過去から出ており、米国を中心にそのための草案をまとめていたのですが、日本側は当初ゼロ回答をします

「人員の運輸の安全に関しましては、管轄は別の省庁ですので、この件につきましてわたくしどもは何らかの決定をする権限を持ち合わせておりません」

水産庁で真面目に働いている日本人の良さが凝縮された模範的な回答ですね。なかなか世界には理解してもらえなさそうですが。果たして会議は紛糾します。

すったもんだがあった挙げ句、会議最終日の 午後 6 時、日本の反対で全会一致ではないため、議長権限で 13 回の年次会合の歴史の中で 2 回目の投票をかけることになりそうになりました。

しかし、ことここに及んで日本側も折れて投票はなくなります。ただ実は日本の派遣団がこの件に関して国内法上に権原がないのは事実ですので、日本国としてはこの条約に従う必要はありません。ただ、WCPFC 参加各国が批准した条約に日本だけ批准しないのなら、それなりに理由を付ける必要があるとは思われます。

あまり格好のよくない言い訳はしてほしくないですね。

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参考

日本「オブザーバーの安全保障は管轄ではない」 マグロの国際会議WCPFC第13回年次会合で日本の漁業管理に非難集中」への1件のフィードバック

  1. 島嶼国のオブザーバーがどのような状況か一度調べた方が良いですね
    酔っ払う 物を壊す 違法操業知らない

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